江戸時代の天才絵師・葛飾北斎と、
ジブリ『千と千尋の神隠し』のモデルと噂される温泉宿。
浮世絵は日本アニメの原点とも言われています。
時を超えてつながる2つの文化をめぐる旅に出かけました。
📝基本情報(旅の概要)
場所・アクセス
- 長野県北部エリア
- 東京駅→JR北陸新幹線(約90分)→長野駅
- 小布施駅:長野駅から長野電鉄(約34分・特急23分)
- 湯田中駅:長野駅から長野電鉄(約80分・特急45分)
みどころ
【小布施】
- 北斎アートと栗スイーツの町。
- 路地裏の散策が楽しい!
- 北斎が描いた岩松院の天井絵は必見!
- 新鮮で甘みの強い栗を味わうのなら収穫時期の9月下旬〜10月中旬がベスト。
【湯田中温泉】日帰りではなく宿泊がおすすめ
- 歴史ある温泉地。すべての旅館と外湯が100%源泉掛け流し。
- 源泉や効能が異なる9つの外湯(共同浴場)を巡りながらのレトロな温泉街の散策も魅力。
- 温泉宿「金具屋」の体験型ツアーがおすすめ!
📌各スポットの紹介
小布施:北斎アートと栗のまち
- 天才絵師・葛飾北斎が晩年(80代)に訪れ、支援者・高井鴻山との深い交流により、数多くの名を残す。
- 栗の名産地。江戸時代には「小布施栗」として将軍家への献上され、高級栗を使用した多様な栗スイーツが発展し有名に。
🔗小布施観光公式サイト:https://www.obusekanko.jp/
🔗小布施観光マップ(PDF)
🔗市内交通情報(レンタサイクル・バス・タクシー・駐車場)
①栗の小径:栗の木を足で感じる散策路
- 「北斎館」入口の向かい側の路地から始まり、高井鴻山記念館の裏手まで続く遊歩道。
- 栗の木のブロック(タイル)が敷き詰められた道。
- 道沿いに栗菓子店やカフェが点在し、散策におすすめ。
②北斎館:北斎アートの集大成
- 浮世絵師・葛飾北斎の専門美術館。
- 晩年に小布施で描いた肉筆画(絵師自身が手描きしたオリジナル作品)や、東町・上町祭屋台の天井絵など、ここでしか見られない貴重な作品を常設展示。
🔗公式サイト:https://hokusai-kan.com/
💡参考:浮世絵には2種類ある!「肉筆画」と「版画」の違いについて
🔗アダチ版画研究所の公式サイトより
③岩松院:鳳凰を描いた天井絵
- 北斎が89歳で描いた畳21畳にもなる大きさの天井絵「八方睨み鳳凰図」は必見!
- 戦国武将・福島正則の霊廟や、俳人・小林一茶の句碑など、歴史や文学にゆかりのある場所も点在。
- アクセス:小布施駅から徒歩30分 または シャトルバスで25分
🔗公式サイト:https://ganshoin.com/
④浄光寺:茅葺屋根が美しい薬師堂
- 室町時代初期(1408年)に建立され、茅葺屋根が美しい薬師堂がある。(国指定重要文化財)
- 縁結びのパワースポットとしても知られる。
🔗公式サイト:https://www.jyokoji.jp/index.php
⑤髙井鴻山記念館:鴻山と北斎の交流の面影を残す
- 江戸末期の豪商・高井鴻山の書斎や蔵などが現存。
- 北斎がこの場所に滞在し、鴻山と語らったとされる。
- 鴻山の書や絵画、北斎の下絵をもとに鴻山が仕上げたコラボ作品なども展示。
🔗公式サイト:https://www.town.obuse.nagano.jp/site/takaikouzan/
⑥桜井甘精堂 栗の木テラス:栗スイーツが評判のカフェ
- 老舗栗菓子店が運営する紅茶とケーキの専門店。国産栗と砂糖だけで作るモンブランが絶品!
- 店内はイギリスアンティークの家具で統一されたクラシカルでシックな雰囲気
- 営業時間:10:00〜17:30(LO17:00)
- 定休日:水曜日
🔗公式サイト:https://www.kanseido.co.jp/
湯田中温泉:多彩な源泉の歴史ある名湯
- 1350年以上の歴史
- 複数の源泉を各地区や宿が独立して管理していて、施設ごとに異なる泉質が楽しめるのが魅力
(一般的な他の温泉地では1つの源泉を分配していることが多い)
🔗公式サイト:https://shibuonsen.net/
歴史の宿 金具屋:「泊まれる文化財」と「ほんものの温泉」
- 登録有形文化財の宿
約260年続く老舗旅館で、建物は国の登録有形文化財に指定。
千と千尋の神隠しの湯屋のモデルともいわれる。 - 4つの自家源泉を持ち、8つの風呂すべて源泉100%かけ流し。
- 宿泊者限定!2つのツアーは絶対参加すべし!
どちらも毎日開催&無料で金具屋の魅力を体感できる。
📍「文化財見学ツアー」
館内を巡りながら金具屋の歴史や建物について学べる。
📍「源泉見学ツアー」
実際の源泉を訪れ、温泉の知識や湧出の瞬間を目の前で体験!
🔗公式サイト:http://www.kanaguya.com/
九湯めぐり:異なる泉質の温泉を味わう
- 源泉や効能が異なる9つの外湯(共同浴場)をめぐる
- 地元住民と宿泊客が中心(日帰り客は9番目の外湯しか入れない)だが、毎月26日(フロの日)では9つの外湯が一般開放される。
🔗九湯めぐりについて(渋温泉公式サイトより)
📷️旅の記録(1泊2日・11月下旬)
1日目:小布施散策と金具屋歴史ツアー
9:13 長野
↓ 長野電鉄長野線(37分)
9:50 小布施
小布施散策スタート!(中町小径・栗の小径)(15分)
10:00
駅から10分程歩き、酒造・松葉屋本店の脇から路地裏に入ります。
オープンガーデン(※)の案内板があるので自由に立ち入りOKなのですが、この時は気づかず入っていいのかちょっとためらいました。
※オープンガーデン:小布施では「外はみんなのもの、内は自分たちのもの」という古くから伝わる文化があり、個人宅等の庭を開放している。案内板を設置している庭は無料で出入りできる。

路地を進むとレンガ造りの煙突が。




◆中町小径・栗の小径


北斎館(90分)
10:15
北斎館到着。入口前の大きなメタセコイアの木。

北斎館見学。比較的自由に写真を撮影できます。
【神奈川沖浪裏の手摺り木版画制作過程】
輪郭を描くところから始まり、多色刷りするところまでの過程を見ることができます。
(実際の過程はもっと多いです。はしょってます。)


【上町祭屋台】
ここにしかない特別な作品。
屋台は鴻山が資材を投じて作り上げたもの。北斎と鴻山の繋がりなくしては生まれなかった作品です。絵や版画は実物を見ると意外と小さいことも多いのですが、これはサイズが大きい。迫力あります。
色彩がとても鮮やかで、浪の細部に躍動感があって、まさに「北斎!」という感じ。

左が「男浪」、右が「女浪」

【富士越龍】
北斎の最後の作品と言われる肉筆画です。
富士山の右上に描かれているのは龍。
龍の姿に北斎自身を重ねていると解釈されています。
まだまだ高みを目指したいという意味での天に昇る龍なのか・・どんな思いで描いたのだろう。

北斎館→岩松院(徒歩30分)
11:45
畑に囲まれたのどかな道が続きます。
アルプスの山々もきれいに見えます。
日差しが暖かく気持ちがよくていつまでも歩けそう。


岩松院(30分)
12:15
岩松院到着
北斎が描いた天井絵「八方睨み鳳凰図」がある本堂に向かいます。
◆本堂

畳21枚分。下から見上げるとまずはその大きさに驚きます。
「八方睨み」の名の通り、どこに移動しても鳳凰の視線を感じてトリックアートのよう。
北斎が88歳〜89歳にかけての作品とのこと。北斎の情熱とエネルギーに驚きです。
この絵には隠し絵もあるそうです。
ぜひ実際に訪れて色々体感してほしい作品です。
◆福島正則公霊廟
福島正則:豊臣秀吉の重臣であり、「賤ヶ岳の七本槍」の一人として名を馳せた戦国武将。晩年を小布施で過ごし、地域の発展に尽力。

↓徒歩10分
浄光寺(20分)
13:00
石段、茅葺き屋根の薬師堂、静かでとても雰囲気のあるお寺。


↓徒歩30分+ランチタイム
髙井鴻山記念館(30分)
14:20
「翛然楼(ゆうぜんろう)」と呼ばれる、鴻山の書斎兼文化サロンとして使われていた部屋。
窓からは、紅葉に染まった庭園が見えます。

四曲屏風「象と唐人図」
北斎の下絵をもとに鴻山が描いた作品。

↓徒歩2分
栗の木テラス(90分)
14:50
人気のお店なので、予想通り混雑していました。並び始めてから店内に入れたのは、約30分後。
店の前は人でにぎわい、少し喧騒を感じましたが、ひとたび店内に入ると、静かでゆったりとした時間が流れ、接客もとても丁寧でした。モンブラン、濃厚だけど甘すぎず、美味しい!!


小布施駅→湯田中駅(40分)
湯田中へ向かいます。

16:18 小布施
↓ 長野電鉄(40分)
16:59 湯田中
歴史の宿 金具屋へ
15時以降は、電車の時間に合わせて湯田中駅まで車で迎えに来てくれます。(要電話予約)
※詳細は宿の公式サイトをご確認ください。
「文化財巡りツアー」に参加(40分)
17:30
最上階の「大広間(飛天の間)」に集合。ここから館内ツアーに出発です。


館主である九代目の説明を聞きながら、客室棟「斉月楼」を廻ります。
大広間と斉月楼はどちらも国の登録有形文化財に認定されています。
戦前から残る木造4階建ての旅館は極めて珍しく、当時最高の建築技術と材料が活かされています。
斉月楼と大広間はエレベータでつながっているので、同じ棟と勘違いしそうですが、山の斜面の高低差を活かして造られた別棟です。
各部屋は「一つの家」に見立てられていて、入口に屋根がついていたり非常に凝った造りになっています。すべての部屋の内装やデザインが異なっているそう。



九代目の「伝統を守り、新しいことに挑戦する」という熱い想いが伝わってくるツアーでした。

2日目:源泉ツアーと善光寺
「源泉見学ツアー」に参加(60分)
8:00
朝食後に、玄関前に集合。
金具屋が独自に所有する4つの源泉(別荘源泉、第1〜3ポーリング源泉)を巡ります。
【金具屋別荘源泉】
金具屋のすぐ裏手にある最も古い源泉。この源泉の湧出をきっかけに、当時金具師(鍛冶屋)でしたが温泉事業を始めたそうです。
地下3mから湧き出しており、浪漫風呂のみで使用されています。
この地下にもぐったところから温泉が湧き出ているのですが、、、湯気で写真が撮れず。
湧出温度は約50℃だそうです。


【第1ボーリング源泉】
別荘源泉とは異なり、地下深くまで機械で地中を掘り(ボーリング)源泉を汲み上げています。
源泉温度は約100℃。
ガイドさんが栓をあけると・・・深度70mから水蒸気とともに源泉が噴き出しました!


温泉が通るパイプはすぐに温泉成分が結晶化して詰まってしまうため、1ヶ月に1回のメンテナンス(温泉成分の除去作業)がかかせず、維持管理に注意を払っているそう。
↓わかりにくいですが、一番内側の白い部分が結晶化した箇所。1ヶ月でこれぐらい詰まってしまいます。


このほかにも第3ボーリングでは温泉の成分が結晶化したものをなめさせてもらったり、他ではできない体験ができます。
最後に参加者全員に、湯の花(成分分析表付き)が配られました。
パイプに付着していた結晶なのかもしれません。
お湯に粉を混ぜて手を浸すとすべすべになるそうです(実際なります)

温泉街の散策もしてみたかったのですが、時間が足りず。
正直、ひとつの宿でこれほど楽しめるとは思っておらず、嬉しい誤算でした。
今回は時間の都合で断念しましたが、九湯めぐりや温泉寺、足湯、無料で卓球ができるお店、おしゃれなバーや雰囲気のある居酒屋・カフェなど、立ち寄ってみたいスポットがたくさんありました。
次回は、もっとゆっくり滞在して、温泉街全体をじっくり楽しみたいです。
長野:善光寺(90分)
10:50 湯田中
↓長野電鉄(60分(特急))
11:48 善光寺下
有名な善光寺ですが、行ったことがなかったので帰り途中に訪れました。





最後は「善子さん」と「光子さん」で締めくくらせていただきます。
ご拝読ありがとうございました!